ヨハネ黙示録

   まえがき

1章 1イエス・キリストの黙示。それは神が彼に与えて、おのが僕たち間もなくおこるべきことを示されたもの。彼は天使をつかわしてそれを僕ヨハネに見せられた。2彼は、見たものすべてによって、神のことばイエス・キリストの証をあかしした。3さいわいなのは預言のことばを読み上げる人、またそれを聞いてそこに書かれたことを守る人たち。時は近いから。

   七つの教会への手紙

 4ヨハネからアジアにある七つの集会へ。恩恵と平和が今いまし、昔いまし、来たるべきものから、彼のみ座の前の七つの霊から、5また真実な証人死人たちの初子で地の王たちの頭にいますイエス・キリストから、あなた方に与えられるように。われらを愛しておのが血でわれらを罪から解放し、6われらに王国を与え、彼の父なる神の祭司となしたもうたものに、栄光と権力が永遠(とこしえ)から永遠にあれ。アーメン。
  7見よ、彼は雲とともに来たもう。すべての目は彼を見よう。彼を刺したものたちもまた。そして地のすべての民が彼を悔んで胸を打とう。然り、アーメン。
  8われはアルパ、かつオメガ」と主なる神はいいたもう。彼は今いまし、昔いまし、来たるべきもので、全能者にいます。

   人の子の出現

 9わたくしヨハネはあなた方の兄弟で、イエスにある悩みと支配と忍耐を共にするもの。神のことばとイエスの証のために、パトモスと呼ばれる島にいた。10わたくしは主の日霊のうちにあった。そしてうしろにラッパのような大声を聞いた。11いわく、「なんじが見ることを巻物に書きしるして七つの集会へ送れ。すなわちエペソへ、スミルナへ、ペルガモンへ、テアテラへ、サルデスへ、フィラデルフィアへ、ラオデキアへ」。12わたくしは振り返って語りかける声を見ようとした。振り返って見えたのは七つの金の燭台であった。13そして燭台の間に人の子のようなものが長衣をまとい、胸のところに金の帯をしめているのが見えた。14彼の頭と髪の毛が白いことは純白の羊毛や雪のよう、目は火の炎のよう、15足は炉で熱せられた真鍮のよう、声は多くの水のようであった。16右手に七つの星を持ち、口からは鋭い両刃(もろは)の剣が出ていて、顔は日盛りの太陽のように輝いていた。17彼を見たとき、わたくしは死人のように彼の足もとに倒れた。彼は右手をわが上に置いていわく、「おそれるな。わたくしはいやさきで、いやはて、18今生きるものである。かつて死人であったが、見よ、今は永遠に生きるものであり、死と黄泉の鍵をにぎる。19それゆえなんじが見たこと、今あること、これからおころうことを書きしるせ。20なんじがわが右手のうちに見た七つの星と七つの金の燭台の秘義はこれ--七つの星は七つの集会の天使たち、七つの燭台は七つの集会である

   エペソ

2章 1エペソの集会の天使に書け。『こういいたもうのは、七つの星を右手に持ち、七つの金の燭台の間を歩みたもうもの。2わたしはなんじのわざと労苦と忍耐を知り、悪者を入れ得ず、自ら使徒というが、じつはそうでないものを試みて、彼らを偽(にせ)と見抜いたことを知る。3なんじは忍耐し、わが名のゆえに労して倦まなかった。4しかしわたしにいい分がある、なんじは初めの愛を捨てた、と。5思いみよ、どこから堕落したかを。悔い改めて初めのわざをなせ。さもなくばわたしはすみやかに来て、なんじの燭台をその場から除こう、なんじ悔い改めぬ限り。6しかしなんじにこの取り柄がある。なんじはニコライ人のわざを憎むが、それはわれもまた憎むところ。7耳あるものは、霊が諸集会にいうことを聞け。勝利者には神の楽園にあるいのちの木から食するを許そう』。

   スミルナ

 8スミルナの集会の天使に書け。『こういいたもうのは、いやさきで、いやはて死してまた生きかえられたもの9わたしは知る、なんじの苦しみと貧しさを。しかしなんじは富んでいる--自らユダヤ人というが、じつはしからず、サタンの会堂であるものからけがしごとを受けていることも知る。10来たるべき苦しみをおそれるな。見よ、悪魔がなんじらのあるものを牢に投げ入れて試み、十日間、なんじらは苦しもう。死に至るまで忠実であれ。いのちの冠を与えよう。11耳あるものは、霊が諸集会にいうことを聞け。勝利者は第二の死に害なわれまい』。

   ペルガモン

 12ペルガモンの集会の天使に書け。『こういいたもうのは鋭い両刃の剣を持ちたもうもの。13わたしはなんじの住むところ、サタンの座を知る。なんじはわが名を守り、わが真実を否まなかった、わが忠実な証人アンテパスがサタンの住むなんじらのところで殺された日にも。14しかしわたしに少しいい分がある。なんじのところにバラムの教えを守るものたちがいる。彼はバラクに教えてイスラエルの子らにつまずきを与え、偶像への供え物を食べさせ、不義をさせた。15同じように、なんじのところにニコライ人の教えを守るものもいる。16悔い改めよ、さもないとわたしはすみやかに来てわが口の剣で彼らと戦おう。17耳あるものは、霊が諸集会にいうことを聞け。勝利者には隠されたマナを与え、白い石を与えよう。その石にはそれを受けるもののほか、だれも知らない新しい名が書いてある』。

   テアテラ

 18テアテラの集会の天使に書け。『こういいたもうのは神の子。火の炎のような目があり、足は輝く真鍮に似る。19わたしは知る、なんじのわざと愛と真実と奉仕と忍耐を。なんじの後のわざは、はじめのそれにまさる。20しかしわたしにはなんじにいい分がある。女イゼベルを放置するがゆえに。彼女は預言者と自称し、わが僕らを教え迷わせて不義をさせ、偶像への供え物を食べさせる。21わたしは彼女に悔い改める時を与えたが、彼女は不義から悔い改めようとしない。22見よ、わたしは彼女を病床に投げすて、彼女と不義をなすものを大きな苦しみへと投げこむ、もしそのわざから彼らが悔い改めなければ。23彼女の子らを死で滅ぼそう。そうすれば、すべての集会はわたしが肝と心を見極めるものであることを知ろう。わたしはなんじらおのおのに、わざに従って報いよう。24なんじらテアテラの残りのもので、彼女の教えを持たず、いわゆるサタンの深みを知らぬものにいう、ほかの重荷をなんじらには負わせない、と。25ただ、わたしが来るまで、なんじらが持つものを堅く保て。26勝利者でわがわざを終わりまで守るものには、諸民を治める権威を与えよう。27彼は鉄の杖で彼らを牧しよう、土の器が砕かれるように。28それはわたしが父から受けたごとくである。わたしは彼に明けの明星を与えよう。29耳あるものは、霊が諸集会にいうことを聞け』。

   サルデス

3章 1サルデスの集会の天使に書け。『こういいたもうのは神の七つの霊と七つの星を持ちたもうもの。わたしはなんじのわざを知る。生きるというは名ばかりで、じつは死んでいる。2目覚めよ。そして死にかけの残りのものを強めよ。わたしはなんじのわざが、わが神の前に成しとげられたとは思わない。3思い出せ、いかに受け、また聞いたかを。それを守って悔い改めよ。もし目覚めねば、わたしは盗びとのように行こう。なんじはいつわたしがそちらに行くか知るまい。4しかしサルデスにはその着物を汚さなかったが、わずかながらいる。彼らは白い装いでわたしとともに歩もう。それは彼らにふさわしい。5勝利者は白い着物を着せられよう。わたしはその名をいのちの書から取り去らず、その名をわが父と天使たちの前でいいあらわそう。6耳あるものは、霊が諸集会にいうことを聞け』。

   フィラデルフィア

 7フィラデルフィアの集会の天使に書け。『こういいたもうのは、聖なるもの、真なるもの、ダビデの鍵を持ちたもうもの。彼が開けばだれも閉じず、彼が閉じればだれも開かない。8わたしはなんじのわざを知る。見よ、わたしはなんじの前に戸を開いてあげる。だれもそれを閉じえない。なんじの持つ力は小さいが、わがことばを守り、わが名を否まなかったから。9見よ、わたしはサタンの会堂のものを連れて来る。彼らは自らユダヤ人というが、じつはそうではなく、うそをついている。見よ、わたしは彼らがなんじの足もとに来てひれ伏し、わたしがなんじを愛したと知るようにしよう。10なんじはわが忍耐のことばを守ったから、わたしもなんじを試みの時から守ろう。それは地に住むものを試みるために、全世界にのぞもうとしている。11わたしはすみやかに来る。なんじの持つものを守れ、だれもなんじのを取らぬように。12勝利者、彼をわたしは神の宮の柱としよう。彼はもはや外に出ることはない。わたしは彼の上にわが神の名と、わが神の都、すなわち天のわが神から下る新しいエルサレムの名と、わたしの新しい名とを書こう。13耳あるものは、霊が諸集会にいうことを聞け』。

   ラオデキア

 14ラオデキアの集会の天使に書け。『こういいたもうのはアーメンのもの、忠実で真実の証人、神の創造のはじめのもの。15わたしはなんじのわざを知る。冷たくも熱くもない。冷たいか熱いかであってほしい。16なんじが生ぬるく、熱くも冷たくもないゆえに、わたしは口からなんじを吐こうとする。17なんじはいう、自分は豊かで、を積み重ねて来、何もこと欠かないと。そして知らない、自分がみじめで、あわれで、貧しく、目しいで裸であることを。18それゆえわたしから買うように勧める、富むために火で煉った金を、身につけて裸の恥を見られないために白い着物を、そして見えるように目につける目薬を。19わたしは愛するものを皆こらしめ、しつける。それゆえ熱意をもち、悔い改めよ。20見よ、わたしは戸のところに立って叩く。わが声を聞いて戸を開く人があれば、その人のところへ行こう。そして、わたしは彼と、彼はわたしと、食を共にしよう21勝利者、彼に、わたしとともにわが座にすわることを許そう、わたしも勝ってわが父とともに彼の座にすわったように。22耳あるものは、霊が諸集会にいうことを聞け』」。

   天の王座

4章 1その後わたしは見た。見よ、天で戸が開かれて、わたしが聞いた最初の声がラッパのようにわたしに語った。いわく、「ここに上れ、この後おこるべきことを示そう」と。2すぐわたしは的になった。見よ、天に王座が置かれていて、王座に座したもうものがある。3座したもうものは、見たところ碧玉(へきぎょく)または紅玉髄(こうぎょくずい)に似る。そして王座をめぐるは見たところ緑玉(りょくぎょく)に似る。4王座をめぐって二十四の座があり、それらの座には二十四人の長老がすわっている。彼らは白い着衣を着、頭に金の冠をつけている。5王座からいなずまとひびきと雷が出る。そして七つの火の炎が王座の前に燃える。それは神の七つの霊である。6王座の前には水晶に似たガラスの海のようなものがある。王座の真ん中と王座のまわりには前も後も目でいっぱいの四つの生きものがいる。7第一の生きものは獅子に似、第二の生きものは雄牛に似、第三の生きものは人のような顔を持ち、第四の生きものは飛ぶ鷲に似る。8四つの生きものはそれぞれに六つずつ翼があり、まわりも内側も目でいっぱいである。そして昼も夜も休まずにいう--
 「聖なる、聖なる、聖なる、主なる神、全能者、昔いまし、今いまし、来たるべきもの」と。
 9これら生きものが王座に座して永遠から永遠に生きたもうものに、栄光と誉れと感謝をささげるとき、10二十四人の長老は王座に座したもうものの前にひれ伏し、永遠から永遠に生きたもうものを拝し、彼らの冠を王座の前に投げ出していう--
 11われらの主なる神、あなたは栄光と誉れと力を受けたもうのにふさわしい。あなたはすべてを創造したまい、すべては御意によって存在し、また創造されたゆえに」と。

   封印と巻物

5章 1そしてわたしは見た、王座に座したもうものの右に、内にも外にも書かれている巻物を。それには七つの封印がなされている。2そしてわたしは見た、ひとりの強い天使が大声で叫ぶのを、「封印を解いて、この巻物を開けるにふさわしいものはだれか」と。3天にも地上にも地下にも巻物を開いて読めるものはだれもなかった。4わたしはさめざめと泣いた、巻物を開いて読むにふさわしいものが、だれも見当たらなかったから。5すると長老のひとりがいう、「泣くな。見よ、ユダ族出の獅子ダビデの根が勝った。彼が巻物とその七つの封印を解く」と。
 6そしてわたしは見た、王座と四つの生きものの真ん中、長老たちの真ん中に、ほふられたような小羊が立っているのを。それには七つの角と七つの目があり、それらは全地につかわされた神の七つの霊である。7彼は来て、王座に座したもうものの右の手から(巻物を)受けた。
 8彼が巻物を受けたとき、四つの生きものと二十四人の長老は小羊の前にひれ伏した。おのおのが竪琴とに満ちた金の鉢とを持っている。香は聖徒の祈りである。9彼らは新しい歌をうたっていう--
 「あなたは巻物を受けてその封印を解くにふさわしい。あなたはほふられ、自らの血ですべての部族と国語と民族と国民とから、人々を神へとあがない、10彼らをわれらの神のために王となし、祭司となさったから。彼らは地上で王者となろう」と。
 11そしてわたしは見た。そして王座と生きものと長老のまわりに、多くの天使の声を聞いた。その数は万の何万倍、千の何千倍であった。12彼らは大声でいう--
 「ほふられた小羊こそ力と富と知恵と強さと誉れと栄光と讃美を受けるにふさわしい」と。
 13そして天と地上と地下と海上の万物がいうのをわたしは聞いた--
 「王座に座したもうものと小羊とに
 讃美と誉れと栄光と力とが、永遠から永遠にあれ」と。
 14そして四つの生きものはいった、「アーメン」と。そして長老たちはひれ伏して拝した。

   終末の騎士たち

6章 1そしてわたしは見た。小羊が七つの封印の第一を開いた。そして四つの生きものの第一が、雷鳴のように、「来たれ」というのを聞いた。2そしてわたしは見た。見よ、白い馬がいて、それに乗るものが弓を持っている。彼に冠が与えられ、勝ちまた勝つために出て行った。
 3(小羊が)第二の封印を開くと、第二の生きものが、「来たれ」というのをわたしは聞いた。4そして炎色の他の馬が出ていった。それに乗るものに、地から平和を取らせ、人が互いに殺すようにさせ、そして彼に大きな剣が与えられた。
 5(小羊が)第三の封印を開くと、第三の生きものが、「来たれ」というのをわたしは聞いた。そしてわたしは見た。見よ、黒い馬がいて、それに乗るものが手に秤を持っている。6そして四つの生きものの間に、声のようなものをわたしは聞いた。いわく、「小麦一ます一デナリ、大麦三ますでも一デナリ、オリブ油とぶどう酒とを損なうな」と。
 7(小羊が)第四の封印を開くと、第四の生きものが、「来たれ」という声をわたしは聞いた。8そしてわたしは見た。見よ、青ざめた馬がいて、その上に乗るものがある。その名は「」で、黄泉もそれに従う。地の四分の一を支配して、戦争と、飢えと、疫病と、地の獣によって殺す権威が彼らに与えられた。

   主よいつまで

 9(小羊が)第五の封印を開くと、神のことばのゆえに、また守り抜いた証のゆえに殺された人々の魂を、祭壇の下にわたしは見た。10彼らは大声で叫んでいった、「聖かつ真にいます主よ、いつまであなたは裁きをせず、われらの血を地上に住むものどもにお報いなさらないのか」と。11彼らのおのおのに白い衣が与えられ、なお少しの間、彼らと同じく殺されようとする仲間や兄弟が満たされるまで、静かにするようにいわれた。

   天変地異

 12そしてわたしは見た。(小羊が)第六の封印を開くと、大地震がおこり、日は毛の喪服のように黒くなり、月は全面血のようになり、13空の星は地に落ちた、いちじくが大風にゆられて未熟な実が落とされるように。14そして天は巻物が巻かれるように動かされ、すべての山と島はその場所から移された。15地の王たち、権力者、将軍、金持ち、有力者、すべての奴隷と自由人が、ほら穴や山の岩間に身を隠し、16山と岩にいう、「われらの上に落ちて、王座に座したもうもののお顔から、小羊の怒りから、われらを隠せ。17神と小羊の大いなる怒りの日が来た。だれがその前に立てよう」と。

   印された十四万四千人

7章 1その後わたしは見た。四人の天使が地の四隅に立って、地の四方の風を押さえていた。それは風が地にも海にも、どの木にも吹かないためであった。2そしてわたしは見た。別の天使が生ける神の印(いん)を持って日の出る方から上って来た。彼は地と海とを損なうことを許されている四人の天使に大声で叫んだ。3いわく、「われらが神の僕らの額にをするまでは、地も海も木々も損なうな」と。4そしてわたしは印をされたものの数を聞いた。それは十四万四千人で、イスラエルの子らの族(やから)すべてから印をされたものであった。5ユダの族から一万二千が印をされ、ルベンの族から一万二千、ガドの族から一万二千、6アセルの族から一万二千、ナフタリの族から一万二千、マナセの族から一万二千、7シメオンの族から一万二千、レビの族から一万二千、イサカルの族から一万二千、8ゼブルンの族から一万二千、ヨセフの族から一万二千、ベニヤミンの族から一万二千が印をされた。

   無数の群衆の讃美

 9その後わたしは見た。見よ、だれも数ええない大勢の群衆がいた。彼らはすべての国民と族と民族と国語からの出で、王座の前に、また小羊の前に立っている。彼らは白い衣を着、棕櫚の枝を手にしている。10そして大声に叫んでいう、「救いは王座にいますわれらの神と小羊に」と。
 11また、すべての天使は王座と長老と四つの生きもののまわりに立っていた。そして王座の前に顔を伏せ、神を拝して12いう、「アーメン、讃美と栄光と知恵と感謝と誉れと力と勢いが、永遠から永遠にわれらの神にあれ。アーメン」と。
 13長老の一人がわたしに向かっていった、「これら白い衣を着た人々はだれで、どこから来たか」と。14わたしはいった、「わが主よ、あなたはご存じです」と。彼はいった、「これらは大きな苦しみを経た人々で、その衣を小羊の血で洗って白くした。15それゆえ彼らは神の王座の前にいて、日夜、宮で神に仕えている。そして王座に座すものは彼らと幕屋を共にしたもう。16彼らはもはや飢えず、渇かず、太陽も、どんな熱風も、彼らを侵さない。17王座の正面にいます小羊は彼らを牧し、いのちの水の泉へと導き、神は彼らの目からすべての涙を拭われよう」と。

   ラッパの準備

8章 1(小羊が)第七の封印を開くと、天に半時間ほど、静けさがおとずれた。2そしてわたしは見た。神の前に立った七人の天使に七つのラッパが与えられた。
 3そしてもうひとりの天使が来て、金の香炉を手にして祭壇に立った。そして彼に多くのが与えられた。それは王座の前の金の祭壇に、すべての聖徒の祈りにそえてささげるためであった。4聖徒の祈りとともに香の煙は天使の手から神の前へと上った。5天使は香炉を取り、それを祭壇の火で満たして地に投げつけた。すると雷とひびきといなずまと地震とがおこった
 6七つのラッパを持つ七人の天使は、それを吹く用意をした。

   はじめの四つのラッパ

 7第一の天使がラッパを吹いた。すると、血のまじった雹と火があらわれて地に降って来た。地の三分の一が焼け、木の三分の一が焼け、すべての青草が焼けた。
 8第二の天使がラッパを吹いた。すると、火の燃える大きな山のようなものが海へ投げ込まれた。海の三分の一は血になり、9海の中の被造物でいのちのあるものの三分の一が死に、船の三分の一が沈んだ。
 10第三の天使がラッパを吹いた。すると、たいまつのように燃える大きな星が天から落ちた。それは川の三分の一とそれらの水源に落ちた、11その星の名は「にがよもぎ」といわれ、水の三分の一が「にがよもぎ」になった。水がにがくなったので多くの人が死んだ。
 12第四の天使がラッパを吹いた。すると、日の三分の一と月の三分の一と星の三分の一とが打たれ、これらの三分の一が暗くなり、昼はその三分の一が光らず、夜も同じであった。
 13そしてわたしは見た。一羽の鷲が中空を飛び、大声でいうのを聞いた、「わざわい、わざわい、わざわいなのは地に住む人々、なお三人の天使がこれから吹こうとしているラッパのひびきのゆえに」と。

   第五のラッパ

9章 1第五の天使がラッパを吹いた。すると、わたしは見た。ひとつの星が天から地に落ちて、それに奈落の底への鍵が与えられた。2それは奈落の底を開いた。するとが底から大きな炉の煙のように上って、日も空も底の煙で暗くなった。3煙からが地の上へ出て来た。彼らに地の蝎が持つような権力が与えられた。4彼らに告げられた、額に神の印を持たぬ人々のほか、地の草もどんな緑も木も損なわぬように、と。5しかし、その人々を殺さぬように、彼らが五か月間苦しめられるように、と命ぜられた。その苦しめ方は人を刺す蝎のようである。6その日になって人々は死を求めても見出さず、死のうと欲しても、死が彼らから逃げよう。7蝗の姿は戦いに備えた馬に似、頭には金の冠に似たものがあり、顔は人の顔のようである8女の髪のようなものを持ち、歯は獅子のようであった。9鉄の胸当てのようなものを持ち、翼の音は戦いへと走る多くの馬の戦車の音のようであった。10蝎に似た尾を持ち、それにとげがあり、尾に人々を五か月間苦しめる権力があった。11彼らは王として奈落の天使を持ち、その名はヘブライ語でアバドン、ギリシア語でアポリュオン(破壊者)であった。12第一のわざわいは終わった。見よ、この後、なおふたつのわざわいが来る。

   第六のラッパ

 13第六の天使がラッパを吹いた。すると、わたしは神の前の金の祭壇の四つの隅からひとつの声を聞いた。14それはラッパを持つ第六の天使にいった、「大川エウフラテスにつながれている四人の天使を解放せよ」と。15すると四人の天使は解放された。彼らは人々の三分の一を殺すように、この時と日と月と年のために備えられていた。16騎兵の軍勢の数は二億。その数をわたしは聞いた。
 17わたしは幻の中に馬とその騎士たちをこのように見た。彼らは真紅と青玉色と硫黄色の胸当てをつけていた。馬の頭は獅子の頭のようで、口から火と煙と硫黄が出ている。18この三つの災害、すなわち彼らの口から出る火と煙と硫黄で、人々の三分の一が殺された。19馬の力はその口と尾にある。尾は蛇に似て頭を持ち、それで災害を加える。
 20この災害で殺されなかった残りの人々は、自らの手のわざを捨てず、悪霊と見も聞きも歩きもしえない金、銀、銅、石、木の偶像を拝むことをやめなかった。21また、その殺人、魔術、不身持ち、盗みを悔い改めなかった。

   天使と開かれた巻物

10章 1そしてわたしは見た。もうひとりの強い天使が雲に包まれて天からおりた。頭にをいただき、顔は太陽のようで、足は火の柱のようであった。2手には開かれた小さな巻物を持つ。右足を海の上に、左足を地の上に置き、3獅子が吠えるように大声で叫んだ。叫ぶと、七つの雷がおのおのの声で語った。4七つの雷が語ったとき、わたしはそれを書こうとした。すると天から声を聞いた。いわく、「七つの雷が語ったことを封ぜよそれを書くな」と。5そして、わたしが海と地との上に立つのを見た天使は右手を天に上げて6誓った。誓いをかけたのは世々とこしえに生きたもう方、天とそこにあるもの、地とそこにあるもの、海とそこにあるものを創造された方にである。いわく、「もはや猶予しえない。7第七の天使の声がする日、彼らがラッパを吹こうとするとき、神の奥義が成就しよう。彼がその僕である預言者たちにお伝えのように」。
 8そしてわたしが天から聞いた声は、ふたたびわたしに語っていった、「行け、海と地との上に立つ天使の手にある開かれた巻物を受けよ」と。9そこでわたしは天使のところへ行って「小さな巻物を与えるように」といった。彼はいう、「受けよ、そして食べ尽くせ、それは腹ににがく、口には蜜のように甘かろう」と。10わたしは天使の手から巻物を受けて、食べ尽くした。それは口に蜜のように甘かったが、食べると腹ににがかった。11また彼らはいう、「なんじはふたたび多くの民族と国民と国語と王たちについて預言せねばならない」と。

   宮の測量とふたりの証人

11章 1そして竿に似た葦がわたしに与えられて、こういわれる、「立って、神の宮と祭壇とそこで礼拝するものらをはかれ2宮の外の庭はそっとして、それをはかるな。それは異教徒に与えられたもの、彼らは四十二か月、聖都を踏みにじろうから。3わたしはわがふたりの証人にいいつけて、麻の衣をきせ、千二百六十日預言させよう」と。4彼らは地の主の前に立つふたつのオリブとふたつの燭台である。5もし彼らを害なおうとするものがあれば、が彼らの口から出て敵を食いつくそう。もし彼らを損なおうとするものがあれば、このように殺されねばならない。6彼らは天を閉じる力を持ち、彼らの預言の間、雨を降らせない。彼らは水を血に変え、何度でも思うまま、あらゆるわざわいで地を打つ力がある。
 7彼らが証を終わると、奈落から上り来る獣が彼らと戦い、彼らを負かして殺そう。8彼らの死体は大きな都の巷に横たわろう。都は霊的に ソドムエジプトと呼ばれよう。彼らの主もそこで十字架につけられた。9(すべての)民族と族と国語と国民から出たある人々が、死体を三日半見るが、死体が墓に葬られるのをゆるさない。10地に住むものは彼らのことをよろこび、祝い、贈り物を交わす。このふたりの預言者が地に住むものを苦しめたから。11しかし三日半ののち、いのちの霊が神から彼らに入り、彼らはおのが足で立ちなおった。大きなおそれが彼らを見るものをおそった。12すると彼らは天から大きな声が、「ここにのぼれ」というのを聞いた。彼らは、敵が彼らを見る前で雲に乗って天に上った13そのとき大地震がおこって、都の十分の一が倒れ、この地震で七千の人が殺され、残りのものはおそれに包まれ、天の神に栄光を帰した。14第二のわざわいは過ぎた。見よ、第三のわざわいがすぐに来る。

   第七のラッパ

 15第七の天使がラッパを吹いた。すると、天に大きな声がした。いわく、「今やこの世の王権はわれらの主と、そのキリストのもの。彼は世々とこしえに王であろう」と。16すると神のみ前でおのが座につく二十四人の長老は、ひれ伏して神を拝した。17彼らはいう、「あなたに感謝します。今いまし、昔いました主なる全能のみ神、あなたは偉大な力をみ手に受けて王となってくださいました。18異教徒は怒りましたが、そこにあなたのお怒りがのぞんで、死人が裁かれ、あなたの僕である預言者と聖徒と、み名をおそれる大小のものとに報いを与え、地を滅ぼすものを滅ぼしたもう時が来ました」と。
 19すると天にある神の宮が開かれ、その宮の中に契約の箱が見えた。するといなずまとひびきと雷と地震と大雹とがあった。

   太陽を着た女

12章 1そして天に大きなが見えた。それは太陽を着た女で、月はその足もとにあり、その頭には十二の星の冠をいただき、2身ごもっていて、生みの痛みと苦しみで叫んでいる。3もうひとつの徴が天に見えた。見よ、火のように赤い大きな竜で、七つの頭と十の角を持ち、頭には七つの王冠をいただいている。4その尾は天の星の三分の一を引きずり、それらを地上に投げた。竜は生もうとしている女の前に立った。生むときその子を飲み込むためである。5彼女は男の子を生んだ。その子はすべての民を鉄の杖で牧しよう。その子は神のところ、王座のところへと移された。6女は荒野へ逃れた。そこに千二百六十日の間養われるよう神から備えられた場所がある。

   ミカエルと竜との戦い

 7そして天に戦いがおこり、ミカエルとその天使たちが竜と戦おうと現われた。竜とその使いたちは戦いはじめた。8しかし力足らず、天にはもう彼らの場所がなかった。9大きな竜は投げられ、悪魔またサタンと呼ばれ、全世界を惑わす古い蛇は地に投げられ、その使いたちももろともであった。10そしてわたしは天に大きな声を聞いた。いわく--
  「今や成る、われらの神の救いと力と王権と、そのキリストの権威とが。われらの兄弟の訴え手、彼らを、日夜、神の前に訴えるものが投げられたから。11兄弟は小羊の血によって、また彼らの証のことばによって彼に勝ち、おのがいのちをおしまずに、死に至った。12このゆえによろこべ、天とそこに住むものよ。わざわいなのは地と海。悪魔がなんじらのところに下り、余命いくばくもないと知って怒り狂っているから」と。

   母と信徒の迫害

 13竜は地に投げられたと知ると、男の子を生んだ女を迫害した。14そして女に大鷲のふたつの翼が与えられた。荒野の彼女の場所へと飛ぶためである。そこで彼女は蛇をのがれて三年半養われる。15蛇は女を溺れさせようと、口から女の背へ川のように水を吐いた。16すると地が女を助けた。地は口を開いて、竜がその口から吐いた川を飲み干した。17竜は女を怒り、彼女の末の残りと戦いをするために出て行った。彼らは神のおきてを守り、イエスの証を持っている
 18竜は海の砂浜に立った。

   第一の獣

13章 1そしてわたしは見た。海からひとつの獣が上った。それは十の角と七つの頭を持ち、角には十の冠、頭には神を汚す名がある。2わたしが見たこのは豹に似ていた。その足は熊のそれのよう、口は獅子の口のようである。そして竜はその力と王位と大権とをそれに授けた。3その頭のひとつは瀕死の打撃を受けたかに見えたが、致命傷はいやされた。すると全地はおどろいて獣に従い、4獣に権力を授けたとて竜を拝み、また獣を拝んでこういった、「だれがこの獣にかなおうか、だれが彼と戦えようか」と。5そして彼に豪語とけがしをいう口が与えられ、四十二か月間、行動する権威が与えられた。6そして神へのけがしをいう口を開いた。み名と幕屋を、また天に幕屋を張るものらを汚すためである。7また、聖徒たちと戦いをして、彼らに勝つことを許された。そして彼にすべての族と民族と国語と国民への権力が与えられた。8地に住むものは皆彼を拝もう。彼らはすべて、世のはじめこのかた、その名がほふられた小羊のいのちの書にしるされていないものである。9耳あるものは聞け。10とりこへと定められたものはとりこになり、剣で殺されるべきものは剣で殺されねばならぬ。ここに聖徒の忍耐とまことがある。

   第二の獣

 11そしてわたしは見た。別の獣がから上った。それは小羊に似たふたつの角を持ち、竜のように語った12それは第一の獣のすべての権力をその目の前で行使する。そして地とそこに住むものが、死の痛手をいやされた第一の獣を拝むようにする。13そして大きなを行なう。すなわち火を人々の目の前で天から地へと降らせる。14そして獣の前で行なうことを許された徴によって地に住むものを惑わし、剣の痛手を受けつつも生きのびた獣の像を作るようにと、地に往むものにいった。15そして獣の像に霊を与えることが許された。それは、獣の像が口もきけるため、獣の像を拝まぬものは皆殺されるためであった。16そして小さいものも大きいものも、富むものも貧しいものも、自由人も奴隷も、すべて右手か額に目じるしをつけるようにした。17それは獣の名かその名の数かの目じるしなしのものは、だれも売り買いできないためである。18ここに知恵がある。心あるものは獣の数をかぞえよ。それはひとりの人の数である。その数は六百六十六

   小羊と信徒

14章 1そして、わたしは見た。見よ、シオンの山に、小羊と、彼とともに十四万四千人が立つ。彼らの額には、小羊の名とその父の名が書かれている。2そしてわたしは天から声を聞いた。それは多くの水のひびきのよう、大きなのひびきのようであった。そして、わたしが聞いた声は竪琴をひく琴ひきの声のようであった。3彼らは新しい歌を王座の前と四つの生きものと長老たちの前でうたった。地上からあがなわれた十四万四千人のほかは、だれもこの歌を学びえなかった。4彼らは女性に汚されぬ人々であった。彼らは童貞であった。彼らは小羊がどこへ行こうと従ったものであり、人々からあがなわれて神と小羊への初穂にされたものである。5彼らの口にはいつわりがなく、純粋無垢であった。

   裁きの前ぶれ

 6そしてわたしは見た。別の天使が中空高く飛び、地に住むものに、すなわちすべての国民と部族と国語と民族とに伝える永遠の福音をたずさえていた。7大声にいわく、「神をおそれて栄光を帰せよ、彼の裁きの時は来た。天と地と海と水の源との造り主を拝め」と。8また、第二の天使が後についていう、「倒れた、倒れた、大いなるバビロンは。あれこそその不義ゆえのみ怒りの酒をすべての民に飲ませたもの」と。9また、第三の天使がその後について、大声でいう、「獣とその像を拝み、しるしを額か手に受けるものも、10同じく神の憤りの酒を飲まねばならない。それはみ怒りの杯に水を割らずにつがれたもの。彼は聖なるみ使いたちと、小羊の前で硫黄の火に苦しめられよう。11その苦しみの煙は永遠から永遠に上りゆく。獣とその像を拝むもの、その名のしるしを受けるものは昼も夜も休みを得まい12ここに、神のおきてとイエスのまことを守る聖徒らの忍耐がある」と。13またわたしは天からの声を聞いた。いわく、「書きしるせ、『さいわいなのは、今よりのち主にあって死ぬもの』と」。霊はいう、「然り、彼らはその労苦から休らおう。そして彼らのわざが後に従おう」と。
 14そしてわたしは見た。見よ、白い雲がある。雲に人の子に似たものが座し、頭にかざすは金の冠、手にするは鋭い鎌である。15別の天使が宮を出、大声で雲に座すものに叫ぶ、「そなたの鎌を差し出してお刈り取りを。刈り入れの時は来ました。地の実りは熟しすぎています」と。16雲に座すものはその鎌を地へと投げ、地は刈り取られた。
 17すると別の天使が天の宮から出た。彼も鋭い鎌を持つ。18また別の天使が祭壇から出た。彼は火をつかさどる力を持ち、大声で鋭い鎌を持つものに呼びかけた。いわく、「その鋭い鎌を差し出して、地のぶどうの木の房を取り入れよ。そのぶどうは熟したから」と。19天使は鎌を地へと投げ、地のぶどうを取り入れ、神の怒りの大きな酒ぶねに投げ入れた。20酒ぶねは都の外で踏まれた。すると酒ぶねから血が流れ出、馬の手綱にとどき、千六百スタデオにひろがった。

   天の序幕

15章 1そしてわたしは見た。偉大で驚くべき別の徴が天におこった。七人の天使が最後の七つのわざわいを持つ。それらで神の怒りがきわまる。2そしてわたしは見た。火の混ったガラスの海のようなものがある。獣とその像とその名の数とに勝った人々が神の竪琴を手にガラスの海に立っている。3彼らは神の僕モーセの歌と小羊の歌とをうたう。いわく--
 全能の主なるみ神、みわざは偉大、また驚異、
  万民の王、なんじの道は義、また真。
 4主よ、だれがなんじをおそれずに、み名をたたえずにいましょう。
 聖にいますはただひとり。すべての民は来て、み前にひれ伏しましょう。
 正しい摂理のお示しのゆえに。
 5その後わたしは見た。天にある証の幕屋宮が開け6七つのわざわいを持つ天使が宮から出た。彼らは純に輝く亜麻布を着、胸には金の帯をしている。7四つの生きもののひとつが、七人の天使に七つの鉢を渡した。それらは世々とこしえに生きたもう神の憤りで満ちていた。8すると宮は神の栄光と力とので満たされた。七人の天使の七つのわざわいがきわまるまでは、だれも宮に入れなかった。

   注がれる鉢

16章 1そしてわたしは宮から七人の天使に大声でいわれるのを聞いた、「行け、そして神の憤りの七つの鉢を地に注げ」と。2第一の天使が出てその鉢を地に注いだ。すると獣の目じるしを持ち、その像を拝む人々にひどい悪性の腫れものができた。3第二の天使がその鉢を海に注いだ。すると死人の血のようになり、海にある生きものは皆死んだ。4第三の天使がその鉢を川や水の源に注いだ。すると血になった。5わたしは水の天使がいうのを聞いた、「今いまし、昔いました全きもの、かくお裁きのゆえに義にいます。6彼らは聖徒と預言者に血を流させ、なんじは彼らに血を飲ませたもう。彼らはそれにふさわしい」と。7わたしは祭壇からいわれるのを聞いた、「然り、全能の神なる主よ、み裁きは真また義」と。8第四の天使がその鉢を太陽に注いだ。すると太陽が火で人々を焼くことをゆるされた。9人々は高い熱で焼かれ、これらわざわいの権限のある神の名を汚した。そして彼に栄光を帰すよう悔い改めはしなかった。10第五の天使がその鉢を獣の王座に注いだ。するとその国は暗くなり、人々は苦しさに舌をかみ、11苦しみとただれのために天の神を汚した。そしてそのわざを悔い改めなかった。12第六の天使がその鉢を大河エウフラテスに注いだ。するとその水がかれた。東の王たちの道がそなえられるためである。13そしてわたしは見た。竜の口からと獣の口からと偽預言者の口から、のような三つの汚れた霊が出た。14奇跡をする悪鬼の霊である。それらは全世界の王たちのところへ行って、全能の神の大いなる日の戦いへと彼らを召集する。15見よ、わたしは盗びとのように来る。さいわいなのは目ざめていて、裸で歩いて恥を見られないよう身仕度する人。16彼らは王たちをヘブライ語でハルマゲドンというところに召集した。17第七の天使がその鉢を空中に注いだ。すると宮から大声が出た。王座から「事は成った」といわれたのであった。18するといなずまとひびきと雷がおこり、人が地上に住んでから、未だなかったほどの大地震がおこった。それほどの激しい地震であった。19大きな町は三つに割れ、諸国民の町々は倒れた。大きなバビロンは神の前に覚えられて、み怒りにたぎる酒の杯が渡される。20島はみな消え、山々は見えなくなった。21大きな重い雹が空から人々へと降った。人々は雹のわざわいゆえに神を汚した。そのわざわいは、じつに大きかったのである。

   淫婦と獣

17章 1七つの鉢を持つ七人の天使のひとりが来た。わたしと語っていう、「来たれ、多くの水の上にすわる大淫婦の裁きを見せよう。2地の王たちはそれと淫し、地に住むものはその姦淫の酒に酔った」と。3天使は霊に感じたわたしを荒野へ連れ去った。わたしは緋色の獣の上にすわる女を見た。獣は神を汚す名で包まれ、七つの頭と十の角を持っていた。4女は紫と緋色で装い、金と宝石と真珠で飾られ、手には悪事と姦淫の汚れに満ちた金の杯を持っていた。5そして額には名が書かれている。それは奥義で、「大バビロン、淫婦と地の悪事の母」である。6そしてわたしは見た。女が聖徒の血とイエスの証人の血に酔っていた。その女を見てわたしは驚き入った。7すると天使はいった、「なぜ驚いたのか。わたしが女と女をになう七つの頭と十の角の獣との奥義をいおう。8なんじが見た獣は前にいたが、今はいない。また奈落から上って滅びへと消えよう。地に住みながら世の初めからその名をいのちの書に記されていないものは、獣が前にいて今いず、また現われるのを見て驚こう。9知恵のある心はこれである。七つの頭は七つの山で女はその上にすわる。それらは七人の王である。10その五人は倒れ、ひとりは今おり、もうひとりはまだ来ない。来れば、しばしとどまらねばならない。11前にあって今いない獣も自ら第八であり、七つの頭の出であるが、滅びへと消える。12なんじが見た十の角は十の王で、まだ王権を受けなかったが、獣とともに一時、王としての権威を受けよう。13彼らの持つ意図はひとつで、力と権威を獣に与える。14彼らは小羊とともに戦おうが、小羊は彼らに勝とう。小羊は主の主、王の王で、彼とともにあるのは召され、選ばれた真実のものらである」と。15天使はいう、「淫婦がすわるのをなんじが見た水は、民族と群衆と国民と国語である。16なんじが見た十の角と、かの獣とは、淫婦を憎み、彼女を荒らし裸にして、その肉を食い、彼女を火で焼こう。17神は彼らにその意図を行ない、ひとつの意図を行なって、王国を獣に与える心を与えられた。神のことばが成就するまでである。18なんじが見た女は地の王たちの上に王権を持つ大都市である」と。

   別の天使

18章 1その後わたしは見た。別の天使が大きな権威を持って天から降り、地は彼の栄光で輝いた。2彼は強い声で叫んだ。いわく、「倒れた、倒れた、大バビロンは。それは悪鬼たちの住み家、すべての汚れた霊の巣、すべての汚れたいとわしい鳥の巣になった。3すべての民が彼女の姦淫の憤りの酒を飲み、地の王たちが彼女と姦淫を行ない、地の商人が彼女の奢りの力で富んだからである」と。

   別の声

 4そしてわたしは別の声が天からいうのを聞いた、「わが民よ、彼女を去れ、彼女と罪を共にせず、彼女のわざわいを受けないために。5彼女の罪は天にまでとどき、神は彼女の不義をおぼえたもう。6彼女も報いたように、彼女に報いよ。そのわざによる罰を二重にせよ。彼女が混ぜた杯に二倍混ぜよ。7彼女が飾り奢っただけ、悩みと悲しみを与えよ。心の中で彼女はいうから、『わたしは女王として座し、やもめではなく、悲しみを見ない』と。8それゆえ彼女のわざわいが一日のうちに来よう--疫病と悲しみと飢えが。そして彼女はに焼かれよう。彼女を裁きたもう主なる神は強くいますから」と。9「彼女と姦淫して奢った地の王たちは、彼女の炎の煙を見て、彼女のために泣き悲しもう。10彼らは彼女の苦しみをおそれて、遠くに立っていう、『わざわい、わざわい、偉大な町、強い町バビロン。ひとときでなんじの裁きが来た』。11地の商人も彼女のために泣き悲しもう、もはやだれも彼らの品を買わぬから。12品とは金、銀、宝石、真珠、麻布、紫の布、絹、緋の布で、またあらゆる香木、あらゆる象牙の器、あらゆる名木、銅、鉄、大理石の器、13肉桂、香料、香、没薬、乳香、ぶどう酒、油、粉、小麦、牛、羊、馬、車、奴隷、人身14なんじの心のよろこびの実は消え、あらゆる輝きとはなやかさは失せた。それらはもはや見られない。15これらの品で富んだ商人は彼女の苦しみをおそれて遠く立ち、泣き悲しんで、16いおう、『わざわい、わざわい、大きな町--麻布、紫の布、緋の布を着、金と宝石と真珠で飾られた町。17ひとときであれほどの富が無に帰した』と。すべての船長、舟びと、水夫、およそ海で働くものは、遠く立ち、18彼女が燃える煙を見て叫んだ、『この大きな町にどれが比べられよう』と。19彼らは頭にちりを被り、泣き悲しんで叫んだ、『わざわい、わざわい、大きな町、すべて海に舟を持つものが彼女の繁栄で富んだのに、町はひとときで無に帰した』と。20彼女のことをよろこべ、天よ、聖徒よ、使徒よ、預言者よ。神はおん身らの彼女への裁きを全うされたから」と。

   強い天使

 21ひとりの強い天使が大きな臼のような石を持ちあげ、海に投げていう、「このような激しさで大きなバビロンの町は倒され、もはや見られまい。22琴ひき、楽人、笛吹き、ラッパ吹きの音は、もはやそこで聞かれず、あらゆる技術の職人がもはやそこで見られず、臼の音はもはやそこで聞かれまい。23ともしびの光はもはやそこで輝かず、花むこ花よめの声はもはやそこで聞かれまい。なんじの商人は地の有力者であったし、なんじの魔術ですべての国民があざむかれ、24預言者と聖徒とすべて地上で殺されたものの血がそこで流されたから」と。

   天上のハレルヤ

19章 1その後、わたしは天に多くの群衆の大声のようなものを聞いた。いわく、「ハレルヤ、救いと栄光と力とはわれらの神のもの、2彼の裁きは真また義であるゆえに。姦淫で地を荒らした大きな淫婦を裁き、彼の僕らの血を彼女に復讐なさったゆえに」と。3そしてふたたび彼らはいった、「ハレルヤ。彼女の煙は世々とこしえに立ちのぼる」と。4すると二十四人の長老と四つの生きものがひれ伏し、王座に座したもう神を拝んで、「アーメン、ハレルヤ」といった。5すると王座から声がした。いわく、「われらの神をたたえよ、彼をおそれるすべての僕らよ、小なるものも大なるものも」と。
 6そしてわたしは多くの群衆の声のようなものと、多くの水の音のようなものと、強い雷のひびきのようなものを聞いた。いわく、「ハレルヤ、主なるわれらの全能の神が王となりたもうたゆえに。7いざ、よろこび、歓呼し、栄光を彼にささげよう。小羊の結婚は成り、花よめは身仕度をし終えた。8彼女は輝く清い麻布を着せられた。麻布は聖徒らの正しい行ないである」と。
 9天使はわたしにいう、「書きしるせ。さいわいなのは小羊の婚宴に招かれたもの」と。さらにいう、「これらは神の真実のことばである」と。10そこでわたしは彼を拝もうとその足もとにひれ伏した。しかし彼はいう、「それはやめよ。わたしもイエスの証を守るなんじとなんじの兄弟と同じ僕仲間である。神を拝め。イエスの証とは預言の霊である」と。

   馬上の救い主

 11そしてわたしは天が開けるのを見た。すると見よ、白い馬がいる。それに乗るものは「忠また真」と呼ばれ、義で裁き、また戦いたもう。12その目は火の炎で、その頭には多くの王冠がある。彼には彼のほかだれも知らぬ名が書かれている。13彼は血染めの衣をまとい、その名は「神のことば」と呼ばれる。14天の軍勢は白く清い麻布を着、白い馬に乗って彼に従った。15彼の口から鋭い剣が出ている。諸国民を打つためである。彼は鉄の杖で彼らを牧しよう。彼は全能の神の怒りの酒ぶねを踏む。16その衣と腰に「王の王、主の主」との名が書かれている。
 17そしてわたしは見た。ひとりの天使が太陽の中に立ち、大声で叫んで中空に飛ぶすべての鳥にいう、「来たれ、神の大饗宴に集まれ、18王たちの肉、将軍の肉、勇士の肉、馬とそれに乗るものの肉、小なるもの大なるものすべての自由人と奴隷の肉を食べるために」と。
 19そしてわたしは見た。獣と地の王たちとその軍勢とが、馬に乗るものとその軍勢と戦うために集められた。20は偽預書者とともに捕えられた。彼は獣の前で徴を行ない、それによって獣のしるしを受けて獣の像を拝んだものを惑わしたのである。両方とも生きたまま硫黄で燃える火の池に投げ込まれた。21残りのものは馬に乗るものの口から出る剣で殺された。そしてすべての鳥が彼らの肉で食べ飽きた。

   千年期

20章 1そしてわたしは見た。天使が天から下った。手に奈落の鍵と大きな鎖とを持っていた。2彼はを捕えた。古い蛇で、悪魔またサタンである。彼はそれを千年の間縛った。3彼はそれを奈落へ投げ入れ、閉じ込めてその上に封印した。千年が満ちるまで諸国民を迷わさぬためである。その後、少しの間釈放されることになっていた。
 4そしてわたしは見た。多くの王座があり、その上に座す人々に裁きがゆだねられた。イエスを証し、神のことばを語ったゆえに首をはねられた人々の魂をも見た。彼らは獣もその像も拝まず、額や手にしるしを受けなかった人々である。彼らは再生してキリストとともに千年の間、王であった。5その他の死人は千年が満ちるまで再生しなかった。これが第一の復活である。6さいわいで聖なのは第一の復活にあずかる人。彼らに第二の死は何ら力なく、神とキリストの祭司となり、彼とともに千年の間、王となろう。
 7千年が満ちるとサタンは牢から解放され、8出かけて地の四隅の諸国民を、すなわちゴグとマゴグを惑わして戦いへと集めよう。民の数は海の砂のようである。9彼らは地の平らなところへ上り、聖徒らの陣営と愛される町を囲んだ。すると天から火が下って彼らをなめ尽くした。10彼らを惑わす悪魔は火と硫黄の池に投げ込まれた。そこには獣も偽預言者もいる。そして彼らは昼も夜も世々とこしえに苦しめられよう。

   この世の裁き

 11そしてわたしは見た、大きな白い王座とそれに座したもうものを。彼の前から地と天が逃れて居所もなかった。12そしてわたしは見た。大小の死人が王座の前に立っていた。数々の書物が開かれた。もうひとつの書物が開かれた。それはいのちの書である。数々の書物に書かれたことによって、死人たちはそのわざに応じて裁かれた。13海はその中の死人たちを引き渡した。死も黄泉もその中の死人たちを引き渡した。そして彼らはおのおのそのわざに応じて裁かれた14そして死も黄泉も火の池に投げ込まれた。この火の池は第二の死である。15いのちの書に書かれていないとなると、だれでも火の池に投げ込まれた。

   すべてを新たに

21章 1そしてわたしは新しい天と新しい地とを見た先の天と先の地とは消えうせ、もはやもない。2そして聖なる都、新しいエルサレムが、神のみもとを出て天から下るのを見た。それは夫のために着飾った花よめのように身仕度している。3またわたしは王座から大声を聞いた。いわく、「見よ、神の幕屋が人とともにあり、神が彼らとともに住みたもう。彼らは彼の民となり、神自ら彼らとともにいます。4彼はすべてのを彼らの目からぬぐい、もはや死がなく、もはや悲しみも叫びも痛みもない。先のものが消えうせたからである」と。5王座に座したもうものがいわれた、「見よ、わたしはすべてを新しくする」と。またいわれる、「書きしるせ。これらのことばは信ずべく、まことである」と。6またわたしにいわれた、「事は成った。わたしはアルパまたオメガ、初めまた終わりである。わたしは渇くものにいのちの水の泉から価なしに飲ませよう。7勝利者はこれらを受け継ごう。そしてわたしは彼の神、彼はわが子となろう。8卑怯もの、不信のもの、不潔のもの、人殺し、姦淫のもの、魔術師、偶像礼拝者、すべてのうそつき--彼らの分け前は火と硫黄の燃える池にある。これが第二の死である」と。

   新しいエルサレム

 9七つの最後のわざわいで満ちた七つの鉢を持つ七人の天使のひとりが来て、わたしに話しかけた。いわく、「来なさい、小羊の妻である花よめを見せよう」と。10彼は霊に感じたわたしを大きな高い山に連れ、聖なる都エルサレムが神のみもとを出て天から下るのを見せた。11それは神の栄光を帯びていた。その輝きは高価な宝石に似、透明な碧玉のようであった。12その城壁は大きく高く、十二の門があり、門には十二人の天使がおり、イスラエルの子らの十二の族の名がしるしてあった。13東に三つの門、北に三つの門、南に三つの門、西に三つの門があった。14都の城壁には十二の土台があり、その上に小羊の十二使徒の十二の名があった。
 15わたしと語るものは金の測り竿を持っていた。都とその門と城壁をはかるためである。16都は四角で長さは幅と同じであった。彼は都を竿ではかると一万二千スタデオであった。その長さと幅と高さはひとしい。17城壁をはかると百四十四ペキュスであった。これは人間の尺度であるが、天使の尺度でもある。18城壁の基は碧玉で、都は透明なガラスに似た純金であった。19都の城壁の土台はあらゆる宝石で飾られている。第一の土台は碧玉、第二はサファイア、第三はめのう、第四は緑玉、20第五は赤じまめのう、第六は赤めのう、第七はかんらん石、第八は緑柱石、第九は黄玉(おうぎょく)、第十は緑玉髄(りょくぎょくずい)、第十一は風信子(ヒアシンス)石、第十二は紫水晶である。21十二の門は十二の真珠であり、それぞれの門はひとつの真珠でできていた。都の広場は透明なガラスのような純金であった。
 22わたしは都で宮を見なかった。主なる全能の神と小羊がその宮である。23都はそこを照らすために日も月も要しない。神の栄光が都を輝かせた。その明かりは小羊である。24諸国民はその光の中を歩み、地の王たちはおのが栄光をそこにもたらす。25都の門は終日閉ざされない。そこには夜がないからである。26諸国民の栄光と誉れがそこへもたらされよう。27およそ汚れたもの、いまわしいことや偽りを行なうものは、決してそこに入れない。入れるのは小羊のいのちの書にしるされているものだけである。

   新しいエルサレム(つづき)

22章 1彼(天使)は神と小羊のみ座から出て水晶のように輝くいのちの水の川をわたしに示した。2それは都の大通りの真ん中を流れていた。川の両側にいのちの木がある。それは十二たび実り、ひと月ごとにその実をむすぶ。その木の葉は諸国民のいやしに役だつ。3もはやいかなる呪いもなかろう。神と小羊のみ座がそこにあり、彼の僕らは彼に仕えよう。4彼らはみ顔を見、額にみ名をしるされよう、5夜はもはやなく、燈火の光も日の光も無用である、主なる神が彼らを照らしたもうから。そして彼らは世々とこしえに王者となろう。

   むすび

 6彼はわたしにいった、「これらのことばは信ずべく、まことである。預言者の霊の主なる神が、僕たちに間もなくおこるべきことを示すためにみ使いをつかわされた。7見よ、わたしはすみやかに来る。さいわいなのはこの書の預言のことばを守るもの」と。8わたしヨハネは、これらを聞き、また見た。聞き、また見たとき、これらをわたしに示した天使の足もとに伏して拝もうとした。9すると彼はいう、「それはいけない。わたしはあなたやあなたの兄弟である預言者ら、この書のことばを守る人々と同じ仲間の僕である。神をこそ拝みなさい」と。10また彼はいう、「この書の預言のことばを封じるな。時は近い11不義者はなお不義を行なえ、汚れのものはなお汚れを行なえ、義者はなお義を行なえ、聖徒はなお聖徒であれ」。12「見よ、わたしはすみやかに来る。わたしは報いをたずさえ、それぞれのわざによってそれを与える。13わたしはアルパまたオメガ、最初また最後、初めまた終わりである。14さいわいなのはおのが衣を洗う人たち、彼らはいのちの木への特権を持ち、都への門を入りうるから。15外には犬、魔術者、不身持ち、殺人者、偶像礼拝者、すべてうそを好み、行なうものどもがいる。
 16わたしイエスは、諸集会のためにこれらをあなた方に証するよう、わが使いをつかわした。わたしはダビデの根また若枝、輝く明けの明星である」。
 17霊と花よめとがいう、「来たりたまえ」と。聞くものもいえ、「来たりたまえ」と。渇くものは来たれ。欲するものは価なしでいのちの水を受けよ。
 18わたしはこの書の預言のことばを聞くすべてのものに証する。もしだれかこれにつけ加えるなら、神はその人にこの書に書かれているわざわいをつけ加えられよう。19もしだれかこの預言の書のことばから取り除くなら、神はこの書に書かれているいのちの木と聖なる都とにあるその人の分け前から取り除かれよう。
 20これらを証する方がいわれる、「然り、わたしはすみやかに来る」と。然り、主イエスよ、来たりたまえ
 21主イエスの恵みがすべての人々とともにあるように。