花の香によせて

 今から30年近く前,駒場に新しい研究室を作る計画が具体化しまして,何人かの助手とともに作業をはじめました.机といすと書物があればとにかく勉強に取りかかれる,といった調子で古い建物に埃まみれの研究室が発足したのですが,1年ほどして女性の事務員を迎えましてから,掃除は行きとどき,野花が飾られ,書物は整頓されて研究室らしいものになりはじめました.

 次に,大学生の服装を見ますと,昔は金ボタンでいちおうそろっていたのですが,このごろの男子学生の中には困った格好のがいます.しかし女子学生はきちんとしていて,教室の雰囲気を整えてくれます.彼女らが教卓に一輪ざしを置いてくれたこともあります.女子寮に招かれましたときには,東大にもこんなに花の香の豊かな部屋があるのかと思いました.

 これらは何でもないことのようですが,わたくしにとっては教訓です.欧米の諸大学に十何年いまして,職員や学生に女性の数が多く,清潔と整頓が彼女らによってきわめて高い水準に保たれていることを体験しました.社会も家庭もそうです.女性の長所が生かされるところはさいわいです.中世以来のキリスト教的伝統は今日も保たれています.

いろいろ俗世間で体験しうることから創世記(2:18以下創世2:18以下 主なる神は言われた。「人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう。」(新共同訳) )の女性の創造の思想も理解できるのではないでしょうか.この記事は狭い意味での家庭のことに限りません.男性が男性だけでいるのはよくないので女性が造られたということも教えてくれます.今日の個人と社会のいろいろな問題についてもこの角度からそれらを考えるときに創造主によって備えられた道がわかると思います.