小さいもの

 今月2日京都府下和知町の由良川に新しく建設されたダムの鉄のとびら(高さ12メートル幅9メートル)が落ちて,毎秒500トンの水が流れ出るという事件がありました,日照りで渇水状態でしたので,犠牲者はつりをしていて急流にのまれたひとだけでしたが,これにつけて思い出があります.戦争中某国のダムの水門が夜間敵機の魚形水雷に見舞われて決壊し,下流一帯に何万の犠牲者が出たことを学友から聞きましたが,これは秘密のうちに葬られた情報の一つです.

 日本に最近東洋一の大ダムが出来たのは技術の進歩としては結構ですが,長い目で見てどうでしょうか.日本の山々の雪は国宝です.小さいダムが至る所に作られて地域的に水力が利用されれば送電も好都合ですし,色々な意味で安全でしょう.小さいダムの数の多さで東洋一になった方がよろしい.大臣,大名,大仏,大吉,大福等々大の字のつくものが好きな国民ですが,真の幸福は大きなもののうちにあると思うところに間違いのもとがあります.虚栄心は恐ろしいものです.大国の人が必ずしも幸福でないことは世界の歴史と現状が示しています.大昔にのさばったマンモスが亡んだことは現代人への教訓ではありませんか.

小成に安んずるのではありません.宇宙万有を創造された偉大な神を信ずるわれわれですが,その神は大きい民でなく最も小さい民を選んで愛する方です(申命7:7申命7:7 主が心引かれてあなたたちを選ばれたのは、あなたたちが他のどの民よりも数が多かったからではない。あなたたちは他のどの民よりも貧弱であった。(新共同訳) ).そして,律法を行なえない小さい弱いものを救うために独り子を遣わされた神です.このように小さいものを救うことがお出来になるところに神の偉大さがあり,その神に頼るところに真の安全があります.

 小さいものへの愛が色々な形で実践されることを願うにつけ,福音こそ国の救いであることを思わざるを得ません.