
小さいものの力 |
知人の経営する或る企業の様子を見聞する機会がありました.名前は会社ですが家族的な協力体制の小さな職場です.使用人が皆経理の概略を知っていますので,仮にストでもやったら忽ち赤字で皆が困ることを百も承知なので一生懸命です. しかし,主人も使用人も皆協力しなければならない,という一種の律法を守る努力をしていますので,そこに本当の喜びがありません.お互いの感情問題をおさえて,ただ励みに励んで機械のように回転しているのです.罪のゆるしの福音に接して,感謝と喜びをもってお互いの重荷を負ったならばどれ程仕事ものびるか,と思わせられます. さて,大企業の場合ですが,ストのため生産を一時停止すれば,企業全体の利潤が下り,労資ともに損害を受けるではありませんか.独占資本の横暴はゆるせませんが,それと実力で対決するのは結局社会共同体の連帯意識の欠除です.世界全体から見ればいわゆる大企業も大きくはなくて,争えば危くなることを知るべきです.どんなに大きな人間の営みでも神の目から見れば取るに足りません.そして,聖書の福音はお互いが神の恩恵を感謝しつつ平和に助け合う幸福という具体的なものを指し示しています. 隣人愛を行った方がいいという律法はこの世の良識ある人々の意見でもあり,それとともに,それより遥にまさる福音があって,そこに本当に隣人愛の律法を成就する力がひそんでいることを強調したく思います. 抽象的な教義でも形式的な儀式でもなくて,ひとり聖書を学ぶ人々の集るところに全能の神の力が働くことがこんな所にも示されているといえましょう. |