
焼けあとの赤電話 |
海外旅行の準備もありまして,8月はじめ珍しく銀座通りへ出ました.ちょうどその数日前あるデパートのすじ向かいに火事があったところを通ったのですが,火事そのものの恐ろしさもさりながら,丸見えになった裏通りの様子に驚きました.終戦直後のバラックにちょっと手を加えたほどの木造家屋が密集していて,漏電をすぐ火事にするたき木同然です.美しい街燈や店や並木のある銀座の表通りは国際的にも有名で,パリのシャンゼリゼと姉妹通りにされるほどですが,焼けあとのこげた赤電話がいかにも寂しそうでした. ことは銀座に限りません.日本には大都会がなくて大村落があり,多くの家で床の間つきの客間が主要部分です.医学は世界的水準ですがまだ無医村があり,これまた世界的な快速列車の窓から渇水に悩む農民が見え,巨大技術の陰に熔鉱炉のそばの摂氏50度のところにあえぐ労務者があります. 銀座通りも医学もその他文化的なものは結構ですが,裏がいい加減にされると表まで焼けてしまうという当り前のことが至るところに見られます.人目につかない隠れたところで神を信じて混乱や汚れすなわち罪をなくしていただく祈りがなければ文化も国も危うくなります. ひとごとでなく,聖書の研究が国際的水準といわれても,社会の隅々から浮き上がれば,はでな表通りのように焼け落ちるでしょう.しかし隠れたところで苦しむ人々とともに学ぶ聖書の真理は偉大な力を発揮するでしょう.旅ゆくものには,こげた赤電話から慰めと励ましの声が聞こえてくるように思われました. |