複数への単数 |
本誌は,“ひとり学ぶ友に”と添えてありますように,訪うに師なく語るに友なき人々に聖書が親しまれるようにと,じみな歩みをつづけてきました.今後もこの趣旨は変わらないでしょう.しかし至らない筆者への温かい応答や励ましばかりでなく,次のような便りもこのごろふえてきました. ひとり学ぶものからだんだんいっしょに学ぶものにされてゆきますことを感謝するとともに,田舎でひとり学ぶ幸いを教えられます……. 常々学び心に蓄えられたものを苦しみや悩みに遭遇している人々に伝えますと,驚くほどよく受け止められてその真価を知らされています……. 聖書愛読誌を集まりの中心として勉強しはじめましてから3度目の新年を迎えました.いつも文字どおり2人か3人の会ですが,そのことが聖書を理解するうえにどんなに必要であるかがようやくわかってまいりました……. これらの例の背後には偉大な力があります.俗化した宗教の場合,大ぜい集まって御馳走を食べる広間の片すみに神棚があって,酒気の満ちた中に職業的祭司が行事をしに来るのがあります.キリストの名をかかげる教会にも,まず人を集めて交際を盛んにするのがあります. われらはひとりひとりが救いに導かれ,人間的な計画によらずに与えられた交わりを恩恵として率直に受けるのです.したがって集まりが何かの原因で止んでも,もともとひとりなので寂しくなく,恩恵が働いていつかまた別の機会に交わりが与えられます.神の国という社会的希望があります. このごろ,美しい大和島根に建設されつつある新しいエクレシアを祝福する天使の静かな合唱がきこえるように思います. |