第100号の感謝

 本誌が第100号になりました.創刊以来いろいろな困難があり,たびたび発行が遅れましたが,とにかく一号も休刊せずに100か月目を迎えることができました.日曜の集まりも今年の暮れでまる20年になりますが,心身ともに弱いわたくしだけにすべてが恩恵の奇跡といわざるをえません.

 困難としては,大学での研究と教育のほかに管理運営の重荷が増してきたということがあります.紛争は慢性化していますし,わたくしの年では雑務がかさむのは避けえません.忙しいので他大学への出講は辞退していますが,講演や寄稿や学会の仕事などときどきは引き受けねばなりません.宗教家として遁世するのでなく,平信徒であるがゆえの困難です.国際的な仕事で海外へ出かけるのも相当な負担です.それに郵税や物価の値上がりで出版事情も悪化しています.

 もうだめかと思ったことも何度かありましたが,そのたびに不思議な道が開けました.商業出版でなく,細く長くという地味な行き方なのでつづいているともいえましょうが,何といっても,すばらしい聖書の真理に接してそれを読者にお分かちするよろこびがいろいろな困難を押えてくれるのです.そして,呼応する各地の読者からいろいろな形で慰め励まされています.読者にはいろいろ困難に囲まれている人が多いので,広く深い意味で同病相憐れむと申しましょうか,聖霊のよろこびを共にしうるのはさいわいです.

 連載ものの完成や新しい題材など計画は山ほどあります.この世の英雄のように倒れて後止む,と気張るのでなく,倒れればあとは神がよいようにしてくださる,という来世を目ざした安心感をもって,これからも静かに進みましょう.