塚本先生御召天

 9月9日の朝塚本虎二先生が天にお召されになりました.日曜でしたのでお家の方がお心づかいくださったのでしょう,集りから帰宅したころにお知らせをいただきました.午後にも聖書の講義の先約がありましたので,それを済ませてお宅へかけつけまして御遺体にお別れしました.お顔はいつものお元気の時とお変りなく,平安のうちに天にお旅立ちの御様子がわかるように思いました.

 お通夜もやめにして静かな家族葬をという御遺族のお気持を尊重してお式の準備がなされてゆきました.ちょうど前日の土曜に南原先生とゆっくりお会いする機会があり,塚本先生のこともいろいろお話ししたところでしたので,お式への御来援をすぐお引き受けいただけたのも不思議です.塚本先生がたびたび講壇にお立ちになり,三谷・矢内原両先生のお葬式のあった女子学院からも,好意的に式場をお借りできました.万事が円滑に,そのひとつひとつが心をこめて進められていくのはただ驚きでした.御遺族の中にはよく外国へ行かれる方もありましたが,みなさんが御在京の時,そしてだれの仕事も邪魔なさらないように御永眠になったのでした.

 関東大震災で御不幸におあいになったとき,それでも,否それゆえに神は愛であるという意味の天来の声をお聞きになってからちょうど50年です.長く激しく苦しい戦いの御生涯でした.

 十年をこえる在外中に両親や兄弟に死別しましたので,お葬式というものには冷静なわたくしも,40年をこえる先生の御好情を思いますと大きく深い穴を体にえぐられた感じです.静かなお式を望まれた御遺族とともに,どこかのかたすみで先生の霊安かれとお祈りしつづけたく思います.