よろこびの力 |
ドイツやスイスの大小の都会にはたいてい町立や市立の総合病院があります.大学病院といっしょになっている場合も見られます.地方によって事情は違いますが,旧教徒と新教徒との差が少ないところでは,それら病院の看護婦の推薦を旧新両教会に依頼して大体両教同数にするそうです.ある市立病院を訪れましたとき,礼拝堂の壁に旧教風の豪華な飾りつけがありましたが,それをカーテンでおおうと簡素な新教風になりましたので,両教並存をなるほどと思ったしだいです. さて,病人の側からの評判としては,旧教の看護婦は規則に忠実で,万事正確ですが,仕事全体に義務遂行の色彩があり,また,規則にないことを自発的にしてくれる場合が少ないのですが,新教徒のほうは規則の守り方には多少隙があっても,病人への奉仕を心からよろこんでいて,規則以外のことも進んでしてくれるということです.義務的な律法から解放されたよろこびの力が働いて,病人の治癒にも効果をあげているのは注目すべきことです. このことをわたくしに話したのは新教の牧師さんですし,このごろは旧教の人も福音的になりつつありますから一概にはいえません.しかし新教の看護婦の定評の背後には,彼女らが日ごと聖書に直接親しんでいるという事実があります.律法によらず,罪のゆるしという神からの恩恵によって救われるというよろこびの力は偉大です.そして,このよろこびは苦しむ人への愛の奉仕によって何倍にもなるのです.病院に限らず,規則や律法を積み重ねただけの文化は行きづまりますが,聖書を与えられたわれらは神からの力であるよろこびを求めようではありませんか. |