このままでいいのか

 電力がわれわれの生活になくてならぬことはいうまでもありませんが,日本ではその80パーセントが火力発電によるという事実は,昨秋来の石油危機以来とくに問題視されています.

 日本には山が多く,降水量も豊かですから,灌慨を兼ねて各地で小規模の水力発電を企てることも必要です.大きなダムには魚形水雷で破壊されて洪水をおこす危険のあることは,前にも申しました(本誌1967年第43号).また,落差が小さくても大きな川の圧力を電化することができます.海に囲まれたわが国では潮の干満を利用すべきことも当然です.発電が各地に疎開されれば,長距離の高圧線も節約でき,安全性も増します.火力がいけないというのではなく,廃棄物の燃焼による発電は効果的です.さらに,いちいち電化しなくても,水車など直接動力を復興して工場を運営してもいいでしょう.太陽熱や地熱の利用も開発すべきです.山やビルの上の風力も使うべきです.

 いずれ原子力の平和利用が進むでしょうが,それを待たずともずいぶんたくさんの方法があることは明らかです. 大企業が集中的に仕事をするのは能率を上げる面もありますが,小さいところにエネルギーが眠っていることを忘れますまい.大きなタンカーに石油を遠くから運ばせて安心している時ではありません.

 われらの国は小さいのですから,このことにかぎらずすべて分に応じたことをすべきです.神は小さい民を愛して救いたもうこと,そして聖書は迷信を排して冷静に幸福への道を示すことを思いつつ,今のわれらの行くべき方向を真剣に考えましょう.