旅立つにあたって |
この夏は外国へ行かねばならないことは前から知っていたのですが,いざ出かけるとなると感慨深いものです.まずアフリカのガーナで開かれる信仰秩序委員会の総会に出て研究的な討議をする任務があります.それからヨーロッパに数週間いて新約聖書学会その他に参加し,また各地の学者と再会しつつ新しい勉強もしたく思います.体も頑丈なほうではありませんし,出かけることはいろいろ負担になりますが,なにか大きなものに引きずられて荷造りをはじめました. はからずも戦前から戦後にかけて,ヨーロッパにいたことが機縁でいろいろ国際的な仕事を手伝いましたが,帰朝後ときどき外国へ行くのもそのつづきが多いのです.そのたびに学界の新しい成果に触れ,それを持ち帰って若い学徒とともに学ぶようにしてきました.機会をとらえては向うの人々に日本やアジアの事情を説明するようにも努めています. わたくしとしては,病床に苦しむ人を訪れたり,不幸にあった人を慰めたり,遠方の友人と聖書を学んだりしたいのですが,なかなか思うようにいきません.顧みますと,宗教家にならず,学究へと導かれた今までのことが,わたくしなりの行き方を説明してくれると思います.感激や熱狂は人を救いません.平信徒として地味に真理を求めて,それをわかりやすくお分けできればと思っています. 旅行や滞在の模様はだんだんに誌上でお知らせしましょう.いろいろ困難もあるでしょうが,ここまで連れて来てくださった全能の主に委ねまつって旅立ちます. 主にあるご平安をお祈りいたします.わたくしのためにもお祈りください. (7月16日朝) |