創造主の力

 長年看護婦を勤めた人が述懐していましたが,一生懸命世話をして,ときには徹夜で病床につき添ったような患者がよくなって退院しますと,一つの仕事に切りがついたのがうれしいので,あとでなんの音沙汰がなくても苦にならない,ということでした.これを聞いたとき,使命に生きる人の純粋な心に頭が下がりましたが,なんだかりっぱに悟りを開いた聖女の告白のようで一種の距てを感じました.

 けれども,しばらく話しているうちにわかったことがあります.それはこうです.聖書を読み,祈りをする患者は,性格や体質や病状による少数の例外を除いて,日ごと感謝をもって眠りますので平安が訪れ,しだいに食欲も増して病気に対する抵抗力がつき,ふつうの人よりは医者や看護婦をわずらわす度合いも少なく,しだいに快方に向かうか,なおらなくてもお委せしているので平安である場合が多いそうです.そして,そうした手のかからなかった患者が自分に対しても心から感謝してくれて,退院してからもいろいろな形でそれをあらわしてくれるので,本当に両手で支えられるような力強さを感じるのだそうです.そういう人は治ってからもよく病院へ帰ってきて健康診断を受けるので,余病その他の併発も防げて長く健康を保つことができ,そうした人と顔を合わせるよろこびは口ではいえませんし,聖書を読まなくて自分に対して冷たい人に対してもおおらかになります,とのことでした.そして,自分も年をとったので,年下の看護婦が世話をしやすいタイプの患者になるよう準備しています,とつけ加えました.

 みとるものもみとられるものも,弱くなって十字架についてくださったイエスに導かれる弱者として静かにしているところに全能の創造主の偉大な力がはたらく,ということがこんな場合にも見られるではありませんか.