四季の感謝 |
3月に昇天された内村鑑三先生を記念して各地で講演会が開かれています.そして,6月には黒崎幸吉先生,9月には塚本虎二先生,12月には矢内原忠雄先生がなくなりましたので,そのころいろいろな形で諸先生が記念されています.不思議なことに3か月ごとで,四季にひとつずつです.この他にも天に召された諸先生があり,それらの方々の記念の集りが開かれています.それにも意味があると思います. 戦前に断圧下で諸先生が同じ信仰による美しい友情をもって協力されたころからお世話になったわたくしは先生方への感謝もひとしおです.内村先生の流れを汲む人々の間に日本に蒔かれた純福音の種が芽ばえ,育って実を結びつつあることは,日本の精神的状況と福音との関係などから学問的にも説明しえます.諸先生の記念を至上目的とせず,それを契機として福音を具体的な基盤から宣明することが大切です. また,人数が増すと問題が起きやすいことも忘れますまい.中世的な聖者崇拝の日本版ができたり,聖書以上に諸先生の著作が重んぜられたり,集りが排他的派閥的になったり,信仰生活の形が律法化したりすることがないようにしましょう. 全体として,聖書の本文に自ら親しんで,罪のゆるしの福音を受け,救い主から与えられるよろこびに満ちて生活することの意味はしだいに明確になりつつあります.生活の実践は倫理感覚や社会通念でよく,純粋な福音はそれを推進するものです. 受けた恩恵の大きさを感謝するにつけ,この宝を次の世代に伝えたく思います. |