
柱上聖者 |
紀元5世紀ごろからシリア地方を中心に禁欲的な隠遁生活をするキリスト教徒の中に柱上聖者Stylites と呼ばれる人々がありました.聖シメオンは特に有名で,アンテオケの近くに建てた高さ10数メートル,巾約1メートルの柱の上で40年近くを過して生涯を終ったと伝えられます.その名声は内外に拡まり,多くの巡礼者が集ったので彼はしばしば悔改めへの説教をしたそうです.彼のほかにも似たことをした何人かが歴史に残っています.その中には高い柱に雷が落ちてなくなった人もあります. 彼らの信仰的熱心は異教徒も尊敬したといわれますし,多くの人々にこの世から離れてキリストに従うきびしさを示し,悔改めを説くなど,当時としては意味があり,立派な生涯を送ったといえましょうが,その後中世において個人的でなく集団的な修道院が発達し,さらに宗教改革以来聖書にもとずく万人祭司主義が進展したことは何を物語るでしょうか. 他宗教にも見られるような遁世や英雄的禁欲主義でなく,だれでも神からの恩恵によって救われるという福音こそナザレのイエスの福音です. この福音はいかにして横には同時代の人々に,縦には次の世代に伝達されるか,それには専門の信心深い宗教家が必要ではないか,との問いに対して,われらは聖書があれば大丈夫と申します.それは人間の力の積み重ねでなく神からの恩恵による救いを説く書物であるがゆえに,神は創造されたあらゆる人的物的な資材を総動員して,柱に上るような熱心を持ちえないものへの福音を柱よりも高いところから今もこれからも伝達なさるでしょう.その実りはすでに明らかです. |